10代や20代の若い人が白髪や薄毛になると、遺伝を疑いたくなりますよね。本来であればまだそんな症状が出る年齢ではないのに・・・と思うとショックだと思います。
白髪体質、という言葉が自然に出てくるように、白髪は生まれつきのものだと考えている人のほうが多いでしょう。
親が白髪の多い人は自分もいつかそうなるのだろうと想像しますし、特に不思議も感じませんが、白髪が遺伝かどうか、永らくの間、ハッキリとした解明はされていませんでした。
髪の毛の異常に関しては、男性特有の薄毛であるAGAに関してはかなり解明が進んでいて、母方のDNAにより発症しやすい体質かどうかが検査出来るレベルにまで来ていますが、白髪に関しては特定出来る研究がなされていなかったために、メカニズムが分かってはいませんでした。
ところがこれがつい最近、ユニバーシティカレッジロンドンの研究チームにより、白髪のきっかけとなる遺伝子が特定されました。
チームは世界中の様々な人種のゲノムを分析し、髪の毛だけでなくひげや眉毛まで影響を与える遺伝子を特定したのです。
目次
白髪が多いのは遺伝の影響なの?
白髪の遺伝子は存在した
英国ロンドンカレッジ大学の研究チームが見つけたのは、白髪のきっかけとなる「IRF4」という遺伝子です。これは髪の毛の色に関係する遺伝子とのこと。
2016年1月に世界で初めて特定し、科学雑誌ネイチャーに論文を発表しました。
発生生物学博士K・アディカリ氏は、中南米の6630人以上を対象に遺伝子解析調査を行い、このIRF4がメラニン生成にも関与していることを発見。
この遺伝子が白髪を作る働きも持っていることを突き止めました。
博士らは今後白髪が発生する年齢を遅らせる治療法を開発したいと言っていますので、そのうち白髪が出るのを防ぐことは出来るかもしれません。
ヨーロッパと東アジアともつながりがある先住民族を対象としたことで、毛髪を通じて進化も解明できるかもしれないとのことです。当然、実現にはまだまだ時間がかかるようですが、大きな前進であることは事実でしょう。
まだまだ研究には時間がかかる・・・
白髪のきっかけとなる「IRF4」という遺伝子が髪の毛の色に影響を与えることは分かりました。
ただ、2016年の段階でまだ分析がやっと出来たところなので、すぐに白髪が無くせるような話ではないのですが、いずれにせよ白髪になるかどうかは、生まれ持った遺伝子によって最初から決められていることがわかります。
研究チームは今後白髪の遺伝子を持った人でも白髪になるのを遅らせたり、食い止めたりする方法を開発したいとしていますが、まだまだ実現には時間がかかるようです。
髪の毛はとても身近な存在であるにも関わらず、不調があっても命には別状がないという理由からか、ずっと研究が先延ばしにされて来た分野と言えます。
ただ、QOLを保つためには見た目も重要な要素ですから、これから研究が促進されれば良いですね。
白髪を引き起こすタンパク質も存在する
アメリカのテキサス大学の医療研究チームの偶然の発見により、近年、白髪になるメカニズムが解明されたとニュースになりました。
メラニン色素が作られなくなることで白髪は起こりますが、なぜ頭皮のメラノサイトがメラニンを作らなくなるのかは謎につつまれた部分でした。
メラニンは美白美容では悪玉ですが、髪の毛に関してはとても大事な色素です。
テキサス大学にあるサウスウェスタン医療センターに勤めるルー・リー博士は、2017年5月に「KROX20」というタンパク質が毛包幹細胞に影響することを研究誌に発表しました。
掲載されたのは遺伝学研究誌の『Genes & Development』 で、このタンパク質を操作することでマウスの実験では毛の色が白く変色し、さらに毛の成長が止まって抜け落ちることが突き止められました。
この発見は偶然のもので、ルー博士は皮膚科医のため、皮膚の腫瘍を引き起こす遺伝子について調査を行っていた最中だったとのこと。
偶然とは言えとても大きな発見であり、細胞内のこのタンパク質が加齢に応じてどのように働くのかを調査することで、今後白髪や脱毛症の治療薬に結びつけたいと発表しています。
遺伝ではない場合の白髪が生える原因
前述の通り、白髪を起こす遺伝やタンパク質が見つかりつつありますが、実は白髪はそうした理由だけでなく他の理由でも起こってしまう現象のため、判断が難しい点もあります。
遺伝以外の白髪の原因は色々
・加齢
加齢によってメラノサイトの機能が低下し、メラニンが作られなくなることで白髪が生えてきます。
・栄養不足
例えば間違ったダイエットによる栄養失調、ミネラル類やビタミン類の不足などで悪影響が現れやすくなっているのはもはや現代病でしょう。
・ストレス
ストレスによるホルモンの異常や睡眠障害などが関係している事もあり、遺伝とはまったく関係のない白髪もあるのです。
・自律神経の乱れ
自律神経が乱れると、神経系ととても構造が似ているメラノサイトはすぐに影響を受け、白髪を作りやすくなります。
・紫外線や活性酸素
紫外線を浴びる事で発生する活性酸素の影響で白髪が生える。
白髪は生活習慣、ストレス、様々な環境が複雑に絡んで現れるものといっていいでしょう。
遺伝ではなく栄養不足!?
加齢による白髪や薄毛ではない場合、白髪の原因の多くは栄養不足によるものと考えられていますが、特にミネラル類、ビタミン類、アミノ酸類などは現代人に不足がち。
10代20代の若白髪の原因も栄養不足が関係している事が多いです。
髪の毛を伸ばす新陳代謝は、生命を維持する活動の中では残念ながら重要度が一番低いものです。だから体内に必要な栄養素が足りなくなってくると、髪の毛を作るほうには回されなくなり、すぐに悪影響が現れてくるのです。
こうした栄養不良による髪の毛の不調は、早く対処すればまた元の黒髪に戻る場合も多くあります。
先が黒くて、中間から白髪になり、また根元部分で黒髪に戻っているような髪の毛を見たことがある人もいるでしょう。これは白髪の伸びた期間だけ、なんらかの原因で白髪になってしまったものの、また元の状態に戻ったことを意味しています。
特に多いのが、間違ったダイエットによる白髪です。
食事で得るべき栄養素が入って来ないわけですから、当然体内の必須栄養素が足りなくなり、そのとばっちりが髪の毛に現れるわけです。思い当たるフシがある人は、すぐに間違った食事法を止めましょう。
遺伝ではなく自律神経の乱れ!?
自律神経の仕事の一つに成長ホルモンの分泌、血液循環のコントロールなどがあります。この2つは健康な髪の毛を作るのにとても重要で、自律神経が乱れるようなことがあると、ダイレクトに髪の毛に悪影響が現れます。
新陳代謝は髪の毛には必要不可欠ですが、自律神経が乱れると新陳代謝が低下します。
自律神経はストレスによっても乱されますから、遺伝を疑う前にストレスを溜め込んでいないかどうか、自分の現在の環境を冷静に考えてみる必要があるかもしれませんね。
遺伝ではなく病気の可能性も!?
遺伝だとなるとショックですが、もっとショックなのが病気の場合です。胃腸など消化器系の疾患、甲状腺の疾患などでは、白髪や薄毛が起こるケースも報告されています。
医薬品の服用で起こるケースもあります。急に白髪が増えた場合は、内科医に相談したほうが良いでしょう。
白髪染めドクター