精神的肉体的なストレスは、髪の毛にとても大きな影響を与えます。
恐怖のあまり一夜にして白髪になってしまったという事例は実際にはないようですが、ストレスが白髪を作るのは事実です。ストレスには精神的なものと肉体的なものとがありますが、そのどちらも髪の毛には大きな影響を与えます。
白髪だけでなく脱毛症や薄毛、ツヤ、ハリ、コシなど、髪の毛を見れば健康状態がある程度分かってしまうほど、如実に現れますよね。
ストレスが白髪を生み出すというのは、化学的な知識が無い私たちでも長年の実感として知っていることです。髪の毛は心身のバロメータとも言えますが、そもそもどうしてそこまで髪の毛に影響があるのかは興味が深いところですよね。
ストレスで白髪が増える原因は?
なぜ、神経の通っていない髪の毛がストレスの影響を受けるのかは、考えてみれば不思議ですね。これには自律神経が関係していて、ストレスが自律神経の乱れを引き起こすことが大きな影響を及ぼしています。
自律神経がコントロールするのは、私たちが意識せずに行う生命維持活動です。例えば呼吸は意識しなくても常に行っていますよね。体内では、心臓が動いていますし、ホルモンも分泌されています。
個々の機能のバランスをすべてコントロールし、健康に生きられるようにしているのが自律神経なので、バランスの崩れは大問題。ストレスが問題なのは、自律神経を狂わせる作用があるからです。
そして自律神経が髪の毛に及ぼす悪影響は、血行の不良を起こすこと。頭皮には毛細血管しかありませんから、血行不良が起こると急激に血液不足となります。
毛母細胞にとってもメラノサイトにとっても血液が唯一のライフラインですから、そこに危機があると活性の危機に直結する問題。また、自律神経はホルモン分泌をコントロールしているので、髪の毛を作るホルモンにも大きく影響を与えます。
色素幹細胞がストレスに弱い
髪の毛に色をつけるメラニンを作っているのがメラノサイトで、そのメラノサイトを作っているのがバルジ領域にある色素幹細胞です。
色素幹細胞が細胞分裂してメラノサイトになりますので、メラノサイトは色素細胞とも呼ばれます。美白にとっては敵かもしれませんが、白髪対策には必要不可欠なメラニン。
メラニンを作るのに必須なメラノサイトは、とても重要な存在です。ところがこのメラノサイトは非常にストレスに弱く、機能がすぐに低下してしまうことが分かっています。
肉体的なストレスや精神的なストレスがかかると、脳から対処するための信号が送られますが、メラノサイトは神経細胞ととても良く似た性質を持っていて、その信号を敏感に受け取ってしまうことが原因だと言われています。
信号を受け取ったメラノサイトは活動を低下させてしまうため、色素がうまく作られなくなり、白髪が増える確率が高くなるのです。ストレスがかかっている間だけ髪の毛が白髪として成長することがあるのは、こうしたメカニズムがあるからです。
メラノサイトへの悪影響
メラノサイトは非常にストレスに弱い細胞で、ストレスを受けるとすぐに機能低下することが分かっています。
脳は神経の暴走を抑制する信号を出しますが、神経細胞にとても良く似た構造を持つメラノサイトも、一緒に不活性化してしまうわけですね。機能が低下したメラノサイトではメラニンがうまく作れなくなり、ここで白髪が現れる確率が飛躍的に高くなるのです。
また、ストレスは活性酸素を作り出すことが分かっていて、この活性酸素がメラノサイトを攻撃対象とすることも分かっています。メラノサイトが損傷しても色素幹細胞があれば新しく作られるはずですが、色素幹細胞も活性酸素の害を受けるので機能が低下します。
また、活性酸素は化学反応で体内に過酸化水素を生成するため、この過酸化水素がメラニンを漂白してしまいます。ストレスの中、せっかくメラノサイトがメラニンを作り出しても、過酸化水素で破壊されてしまったら元も子もないですね。
自律神経の乱れも白髪と関係
ストレスは自律神経の乱れを引き起こす原因となります。
自律神経というのは、生命維持活動がスムーズに行われるよう、無意識下で働く神経ですが、とてもデリケートなバランスで運営されていて、ストレスがかかるとすぐにバランスを崩して様々な悪影響が現れます。
私たちが意識せずに行っている生命維持活動は、例えば呼吸、心臓の鼓動、ホルモンの分泌、体液の循環など実に様々ですが、そうした個々の機能に少しでも悪影響があると大変な不調となります。
特に髪の毛に関して言えば、頭皮の毛細血管に十分な血液が回らなくなることで栄養が激減したりすると、髪の毛にあらゆる悪影響が現れやすいのです。
自律神経はホルモンの分泌とも深く関係しているので、妊娠時や出産後、更年期などにも乱れやすく、髪の毛に大きな影響が現れることもあります。
ストレス白髪の対策
髪の毛のためにはストレスを断つ
あらゆるストレスを完全に断つことは出来ませんが、健康な生活が送れる範囲に留めておくことはとても重要です。
ストレスは、生きていれば誰もが何かしら感じるものですから、それを無視せず、こまめに自分をいたわってあげることで健康を保つ必要があります。
必要なのはストレスに過剰反応しないよう、耐性を持つことです。
ストレスに耐えられるだけの強い心身を維持するためには、とにかく体力をつけること、規則正しい生活をすることです。食事で必要な栄養をバランス良く摂って、ちょっとやそっとでは揺るがない肉体を作っておくことで、非常に高いストレス耐性を得ることが出来ます。
例え多少ストレスを受けても、健康な生活が送れるよう耐えられる身体を作ること。これは白髪対策に限らず、現代人にはとても重要なことですよね。対ストレスで必要なのは、体力と気力です。
また、睡眠はとても大事な要素なので、ゆっくりぐっすり眠れるような工夫も欲しいですね。特に髪の毛は寝ている間に成長しますから、良い環境で育毛することはとても大事です。
運動が心身のバランスを取る
ストレス対策にも、髪の毛の健康を守るためも、適度な運動は良いと言われています。
頭皮マッサージが育毛に効果的と良く言われますが、それも血行を良くするための行為ですから、運動で常に全身の循環を良くしておけば、良い影響を与えるのは当然ですよね。ちゃんと身体を動かしているという自信もつくので、とても良い習慣です。
運動中は交感神経が優位になりますが、終わった後は副交感神経がとても活性化するので、無理なくリラックスすることが可能です。緊張しやすい性質の人には特にオススメですね。
白髪染めドクター