髪の毛を染める場合、方法としてはいくつか別の手法があります。
見え方も髪や健康に与える影響も大きく変わって来るので、それぞれの内容については知っておきたいところですね。
大別すると、
・染める時に髪の毛の内側に色を入れ込む方法
・髪の毛の外側から色を被せる方法
の2つがあります。
一般的な白髪染めは、染毛剤を髪の毛1本1本の内側に入れ込んで色を変えるので、前者になります。
髪の毛を傷めにくいと言われているヘアマニキュアは後者で、髪の毛にあまり負担をかけません。髪の表面をコーティングする手法のほうが、健康面では有利です。
一般的な白髪染めの染め方
一般的な白髪染めは、白髪の上から色を塗っているわけではなく、髪の毛の内側に染毛剤を入れ込んで、中に色素物質を引っ掛けています。
広く使われているのは1剤と2剤とを混ぜて使う白髪染めで、これは美容室でもよく使われる方式。髪の毛の中に染毛剤を注入するためには、髪の毛のキューティクルを剥がして中に入れ込む必要があります。
キューティクルは健康な髪の毛の表面を覆っている魚のウロコのような組織で、肌で言えば表皮のような役割をしています。
キューティクルは、髪の毛の中に異物が入らないようにする役目と、中の大事な成分が外に漏れないよう防ぐ役目を持っています。
サラサラでなめらかな髪の毛は、キューティクルがキレイに整っていて乱れも隙間もないから実現出来ているわけですね。
もちろん白髪にもキューティクルはありますので、健康な白髪であればサラサラとした指通りがあり、適度に水分も含んでいます。
ただ、そのままでは染毛剤を中に入れることが出来ないため、白髪染めはまずこの健康なキューティクルを無理に剥がすところから作用するのです。
色の入れ方
髪の表面にあるキューティクルを無理にこじ開け、色を入れるための物質が、アンモニアなどのアルカリ成分です。
このアルカリ性を持った成分がキューティクルを剥がし、髪の毛の表面に穴があいたところに薬剤を入れ込みます。
白髪染めの鼻をつく臭いや目に沁みるような感覚は、このアンモニアから出ている臭気だったのですね。あいた穴からアンモニアと過酸化水素水が入り込むと、髪の毛のタンパク質が壊れて色が抜け落ちます。
つまり白髪染めを塗ったところは、健康な黒髪でも無理に脱色させられるので、一旦白髪になるわけですね。
そうして全部の色が壊れたところで、中に入った酸化染料が化学反応で酸化し、決められた色が発色します。
出来上がった色素物質は入り込んだ穴よりも分子量が大きいため穴から抜け出しにくくなり、髪の毛の色を変えたように見せるわけです。
白髪染めのあとに色が落ちてしまう理由
髪の毛の中で化学反応を起こし、入って来た穴より大きくなった色素物質は、理屈から言えばもう外には出られない状態ですよね。
でも、白髪染めをしても時間が経てばだんだん色が抜け落ちてしまうのは、おそらく誰もが経験済みでしょう。
この理由は、こじ開けられたキューティクルが元に戻れず、傷みがどんどん大きくなった結果、穴が大きく広がってしまうからなのです。
このタイプの白髪染めを繰り返している人は、キューティクルが完全に剥がれ落ちて、無くなってしまう事も少なくありません。
染めても染めてもすぐに色が落ちてしまうという人は、すでに髪の毛が完全に傷んでしまって、キューティクルを失っている可能性があります。
キューティクルは表皮と同じだと前述しましたが、表皮を強い薬剤で何度も何度も無理に剥がせばどうなるか、大体想像はつきますよね。
傷んだ角質は剥がれ落ちて新しい角質と入れ替わるしかないように、傷んだ髪の毛もカットしてまた伸ばすしか手はなくなるのです。